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ポートフォリオに載せない案件の話 – NPC

フリーランスでWeb制作をしていると、「自分の仕事を見せられる場」としてポートフォリオは大事な営業資産になる。ただ、案件を重ねれば重ねるほど「これ、載せていいんだっけ?」と迷うものが増えてくる。

今回は、自分がポートフォリオに載せていない案件のパターンと、その判断基準について書いてみる。「全部載せた方が見栄えするのに、なんで載せないの?」と聞かれることがあるので、その答えにもなれば。

ポートフォリオに載せない案件パターン5つ

まず結論から。自分が「これは載せない」と決めている案件には、わりと明確なパターンがある。順番に紹介していく。

NDA・守秘義務がある案件:契約書に明記されているケース
中継経由でクライアント名を出せない案件:エージェント・代理店経由
自分が作ったとは言いづらい改修案件:既存サイトの一部修正
一部だけ担当した案件:フォーム実装だけ、保守だけ
クライアントが「載せないでほしい」と希望した案件:明示・暗黙どちらも

NDAがある案件は、当然出さない

これは一番分かりやすい。契約書や業務委託契約に「成果物・関与の事実を第三者に開示しない」という条項が入っているケース。秘密保持契約(NDA:Non-Disclosure Agreement、機密情報を外に漏らさないという契約)が結ばれているなら、ポートフォリオに載せるどころか「やりました」と言うことすらNGだ。

意外と見落としがちなのが、契約書には明記されていないけれど暗黙にNDA前提のケース。たとえば大手企業の社内システムや、まだ発表前のサービスのLP制作などは、たとえ書面に書いてなくても載せない方が無難。

一度、エンタープライズ系のクライアントから「契約書見直したらNDA入ってたから、Web上のあの実績下げてもらえる?」と数年越しで連絡が来たことがある。慌てて取り下げる羽目になった。それ以来、契約書のNDA条項は受注前に必ず一読するようにしている。

中継経由の案件は、ぼかすか載せないか

フリーランスをやっていると、エージェント経由・知人経由・他社の制作会社経由で仕事をもらうことが多い。自分の場合、収入の半分以上はそういう「中継」経由の案件だったりする。

中継経由の案件が難しいのは、エンドクライアントとの直接の契約関係がないこと。つまり「実績として表に出していいか」を判断する権限が、自分にはない。

エンドクライアント
中継(代理店・知人)
自分

このとき、ポートフォリオに「○○株式会社のサイトを制作しました」と書くのは、中継相手の信頼を裏切る行為になりかねない。中継相手からすれば、「うちが受けた仕事を、勝手に下請けが看板にしている」という印象になる。

自分がやっているのは2パターン。中継相手に「載せていいか」を確認して、OKならクライアント名込みで載せる。NGまたは確認するほどの関係性じゃない場合は、「都内のEC事業者さんのコーポレートサイトリニューアル」みたいに業種+規模で抽象化して載せるか、いっそ載せない。

改修・一部担当の案件は「自分の作品」と言いづらい

WordPressの保守を月額で受けていたり、既存サイトのフォームだけ作り替えたり、CSSの調整だけ入ったり。こういう「一部だけ関わった案件」は、ポートフォリオに載せるかどうかかなり悩ましい。

サイト全体のスクショを載せて「制作しました」と言うのは、自分が作っていない部分まで含めてしまうのでウソになる。かといって「フォームの実装だけ担当しました」と注釈を入れて全体スクショを載せるのも、見る側からすれば実態が伝わりにくい。

サイト全体のスクショで載せる
  • 見栄えはいい
  • 関与範囲が伝わらない
  • 「全部作った」誤解を生む

自分の場合は、保守だけ・部分改修だけの案件は基本載せていない。代わりに「やってきたこと一覧」みたいな形で、技術スキルとして集約してプロフィール側に書く。ポートフォリオは「全部自分が手を入れた、見せられるアウトプット」だけ並べる、というルールにしている。

クライアントの希望を最優先する

これは当たり前なんだけど、意外と忘れがち。「実績公開していいですか?」と聞いたとき、ぼやっと「あ、はい、まあ……」みたいな反応だった場合、自分は載せない方に倒している。

「ダメではないけど積極的にOKとは言いづらい」というニュアンスを、文字通り「OK」と受け取って載せると、後で揉める。たとえば、自社サイトを内製化したい意向があるクライアントの場合、外注した事実を表に出されると都合が悪いことがある。それを聞かずに載せると関係が壊れる。

受注時の業務委託契約に「実績公開の可否」を1行入れておくと、後の判断が楽になる。自分は最近の見積もり段階で「公開可否」と「公開する場合の名称表記」を確認するようにしている。

では何を載せるのか

ここまで「載せない」話ばかりしてきたので、最後に「何を載せているか」も書いておく。

自分のポートフォリオに載せているのは、おおむね以下の条件を全部満たすもの。

サイト全体(または明確に切り出せる1ページ)を自分が設計・実装した
クライアントから公開OKをもらっている
NDAも中継経由のしがらみもない
自分が「これは見てほしい」と思える出来になっている

結果として、ポートフォリオに並ぶ案件数はそこまで多くない。10年やってきても、堂々と表に出せるのは数件レベル。「実績豊富!」みたいな見せ方はできていない。

でも、そのぶん載せている案件はどれも自信を持って語れるものになっている。問い合わせをくれた人と打ち合わせするとき、「この案件、こういう理由でこう設計したんですよ」と中身まで話せる。数より質、というと月並みだけど、フリーランスの営業資産としてはこっちの方が結局は強いと思っている。

まとめ:載せない判断は、信頼を守る判断

ポートフォリオは「自分の仕事を見せる場」だけど、同時に「過去のクライアントとの信頼関係を映す鏡」でもある。載せて自慢したい気持ちと、相手との関係を守りたい気持ち。両方天秤にかけて、迷ったら載せない方に倒す、というのが自分のスタンス。

これからフリーランスでポートフォリオを整える人は、案件ごとに「公開可否」をクライアントに確認する習慣を最初から付けておくと、あとあと楽になる。「全部載せられる前提」で受注してしまうと、後で剥がす羽目になることもあるので、ぜひ最初の見積もり段階で。

※この記事はNPCの中の人の実務経験をもとに書いています。

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