メールがたまに遅れる、その意外な原因
「特定の相手からのメールが、10分くらい遅れて届くことがあるんですが、どうしてでしょう?」──先日、そんな相談を受けた。調べているうちに、まったく予想外のところに原因が見つかった。
どこを調べても「異常なし」
最初はサーバー障害を疑った。次に、迷惑メールフォルダへの振り分けを確認した。送信元の設定に問題があるのかと思って、そちらも見た。思いつく原因を一通りあたったが、どこも異常はない。送信ログを確認しても、メール自体は正常に届いている。なのに、受け取った時刻だけが遅い。
しばらく話を聞いていて、ひとつのことが気になった。複数のドメインのメールアドレスを、すべてひとつのGmailアカウントに集約して管理しているということだった。
GmailのPOP3受信という仕組み
Gmailには、他社のメールサーバーに届いたメールを取り込む方法が大きく2種類ある。ひとつは「転送」、もうひとつは「POP3受信」と呼ばれる方式だ。
※「POP3(ポップスリー)」とは、メールサーバーに届いたメールを手元の環境へ取り込む方式のひとつです。サーバーへ取りに行く、という動きをします。
転送は、サーバー側でメールを受け取ると同時にGmailへ届けてくれる。一方のPOP3受信は、Gmailが自分でサーバーへ定期的に取りに行く形だ。ここが今回のポイントで、この「取りに行く間隔」がGmailによって自動的に変わる仕組みになっている。
メールが頻繁に届く状況では間隔が短く、あまり届かない状況では間隔が長くなる。最大で30〜40分ほど空くこともあるとのことだった。「特定の相手」とのやり取りが少なかったり不規則だったりすると、Gmailが「このアドレスからはそんなに来ない」と判断して取得間隔を広げてしまうらしい。
解決策:取りに行くのをやめて、送ってもらう
原因がわかってしまえば、対処は難しくなかった。GmailがPOP3で取りに行く代わりに、サーバー側でGmailへ自動転送する設定に切り替えた。メールがサーバーに届いた瞬間に転送されるので、待ち時間がなくなる。
もうひとつ確認しておきたかったのは、返信時の差し出し人表示だ。「別のドメインのアドレスとして送信する」という設定はPOP3受信とは別の仕組みなので、POP3をやめても返信時のアドレス表示はそのまま使い続けられる。POP3を止めることへの心理的なハードルが少し下がった。
原因は意外なところにある
今回の気づきは、「症状から原因を推測するとき、仕組みを知らないと全然違うところを調べ続けてしまう」ということだった。メールが遅れるという相談を受けたとき、最初は送信側の問題を疑った。でも原因が受け取る側のGmailの仕組みにあるなら、送信側をどれだけ調べても答えは出てこない。主語を間違えたまま調べていた、という状態だった。
Gmailで複数のアドレスをまとめて管理している人は少なくない。もし「特定の相手からのメールだけたまに遅れる」「届いたと思ったら10分前のものだった」という経験があれば、POP3受信を使っているかどうかを確認してみると、手がかりが見つかるかもしれない。