店主の手記 / 日常・雑記 日常・雑記 2026.04.03 (更新: 2026.06.02) 三毛猫のベルは16年目も僕の膝の上にいる 2010年のクリスマス、うちに三毛猫が来た。 保護された子で、クリスマスに来たから名前はベル。(ジングル)ベル、そのまんまだけど、その名前しか考えられなかった。 あれから16年。今もベルは元気で、仕事中は膝の上にいる。 ただ、最近ひとつ大きな問題が見つかった。飼い主としての恥だけど、この記事がちょっとでも役立つものになればと思ったので書きました。 怒らない猫だった 猫を飼ったことがある人なら、あの「フーッ」という威嚇を聞いたことがあると思う。びっくりしたときや嫌なことがあったとき、猫はあの音と一緒に体を膨らませる。野良猫が喧嘩している時にもよく聞くよね。 ベルは、16年間一度もやらなかった。 フーッもシャーッもない。引っ掻きもない。噛みつきもない。うちに子供がいて、子供が多少乱暴に触ったりすることもあったけど、それでもベルは怒らなかった。やんちゃな弟ね!とも言わんばかりにじっと触らせてあげていた。ときたまうるさい音に嫌そうな顔でその場を離れることはあっても、爪を立てることも一度もなかった。 在宅で仕事をしていると、猫との距離は必然的に近くなる。デスクに座っていればそのうち膝に乗ってくる。ゴロゴロ言いながら丸くなって、キーボードを打つ振動なんて気にもしない。それがベルの日常だった。 それだけ穏やかな子だった。というより、今も穏やかな子だ。 右目が緑内障だった ある日、ベルの右目の黒目の周りに、シミのようなものがあることに気づいた。もののけ姫のアシタカの右腕みたいな模様。茶色っぽい模様。いつからあったのか分からなかった。すごくゆっくり、でも確実に広がっていた気がして、それでも「もう年だからかな」と思っていた。呑気にも程がある。 そのうちに、右目の瞳孔がずっと開きっぱなしになっていることに気づいた。もしやと思って、右目に指をゆっくり近づけてみた。目の毛に触れるまで、瞬きはしなかった。左目で同じことをする。すぐに目をつぶる動作。 これはダメだ、と思った。 翌日、かかりつけの病院へ連れて行った。眼圧が高いとのことだった。血液検査など一通りやったけれど、特に異常は見つからなかった。症状は緑内障に見えるけど数値としては正常範囲ということで、目薬で様子を見ることになった。 数週間経っても改善しなかった。かかりつけの先生に相談して、少し大きめの病院を紹介してもらうことになった。少し遠かったけど、1人と1匹で出向いた。 そこで緑内障と確定診断された。最初に気づいたシミのようなものは「虹彩メラノーシス」だと教えてもらった。「年だからかな?」なんて呑気だった自分に、腹が立った。幸い悪性のメラノーマではなかったが、そう言う問題ではない。 動物の緑内障は、眼圧が上がって視神経にダメージが出る病気だ。進行すると失明し、さらに悪化すると眼球そのものを摘出しなければならないケースもある。そして今後虹彩メラノーシスが悪性になると全身に転移してガンが広がる可能性もある。と告げられた。16歳という年齢で全身麻酔をかけることへのリスクも、当然ある。それでも放置すれば毎日目薬をしなければならないし、最悪死期も早くなるリスクもある。少しでも長く一緒にいたい。家族もそうに違いない。手術を選ぶしかない。ベルだってきっとそう思ってくれる。はず。 ベルが眼球を失う。その現実を、まだちゃんと受け止められていない気がする。 気づいてあげられなかった 今になって思い返すと、この1〜2年でハゲた跡が増えていた。過度な毛づくろいで毛が薄くなる、あれだ。嘔吐も増えていた。病院で診てもらったけど特に病名はなく、吐き気止めをもらって様子を見ていた。 たぶん、目が見えなくなってきたことへのストレスだったんだと思う。今になって、そう思う。 でも当時は、そんなふうに結びつけて考えることができなかった。ベルはずっと元気だった。元気に走り回り、キャットタワーに飛び乗り、階段を駆け上がって駆け降りていた。辛そうなそぶりなんて、何ひとつなかった。 猫は痛みを隠そうとする生き物だ、という話を聞いたことがある。野生の名残なのか、弱さを見せないようにするらしい。だからベルも、見えにくくなっていることを表に出さなかったのかもしれない。でも、ふとした瞬間に訴えかけてきていたのかもしれない。そんな些細なことに気づいてあげられなかった。 毎日膝の上にいた。毎日顔を見ていた。それでも気づけなかった。 これだけ近くにいて、これだけ時間を共にしていて、気づいてあげられなかったのは、自分の責任だと思っている。「しょうがない」で済ませたくない。ベルはずっと穏やかに膝の上にいてくれたのに、こっちはその子の変化を見落としていた。 申し訳ない、という言葉以外が出てこない。 16年というのは、すごいことだ 猫の平均寿命は、室内飼いで15歳前後と言われている。ベルはその年齢を超えて、今16年目にいる。 2010年のクリスマスから、リーマンショック後の不景気も、フリーランスになった年も、子供が産まれた年も、コロナで外に出られなかった時期も、ずっとそこにいた。在宅になって仕事部屋にこもるようになってからは、特に一緒にいる時間が長くなった。膝の上のゴロゴロは、気づけば仕事のBGMになっていた。 そのベルが、手術を受ける。 16年間、一度も怒らなかった子が、今度は痛みに耐えることになる。それでも文句を言わないし、たぶん手術後も膝に乗ってくると思う。それがベルだ。 こちらにできることは、ちゃんとそこにいること、それだけだと思っている。 手術を終えたら、また膝の上にいてほしい 手術の日程はまだこれからだ。年齢的なリスクはある。でもベルが痛みなく過ごせるなら、それが一番いい。 片目になっても、ゴロゴロ言いながら膝に乗ってくると思う。ベルならそうする。 気づいてあげられなかったこと、本当にごめん。手術、頑張ってほしい。終わったら、また仕事の邪魔しにきてください。 ずっと待ってる。 ← 前の手記 Claude Code × WP REST APIで下書き自動投稿 – NPC 次の手記 → 個人ブランドのサイトをWordPressで作る理由 – NPC
2010年のクリスマス、うちに三毛猫が来た。 保護された子で、クリスマスに来たから名前はベル。(ジングル)ベル、そのまんまだけど、その名前しか考えられなかった。 あれから16年。今もベルは元気で、仕事中は膝の上にいる。 ただ、最近ひとつ大きな問題が見つかった。飼い主としての恥だけど、この記事がちょっとでも役立つものになればと思ったので書きました。 怒らない猫だった 猫を飼ったことがある人なら、あの「フーッ」という威嚇を聞いたことがあると思う。びっくりしたときや嫌なことがあったとき、猫はあの音と一緒に体を膨らませる。野良猫が喧嘩している時にもよく聞くよね。 ベルは、16年間一度もやらなかった。 フーッもシャーッもない。引っ掻きもない。噛みつきもない。うちに子供がいて、子供が多少乱暴に触ったりすることもあったけど、それでもベルは怒らなかった。やんちゃな弟ね!とも言わんばかりにじっと触らせてあげていた。ときたまうるさい音に嫌そうな顔でその場を離れることはあっても、爪を立てることも一度もなかった。 在宅で仕事をしていると、猫との距離は必然的に近くなる。デスクに座っていればそのうち膝に乗ってくる。ゴロゴロ言いながら丸くなって、キーボードを打つ振動なんて気にもしない。それがベルの日常だった。 それだけ穏やかな子だった。というより、今も穏やかな子だ。 右目が緑内障だった ある日、ベルの右目の黒目の周りに、シミのようなものがあることに気づいた。もののけ姫のアシタカの右腕みたいな模様。茶色っぽい模様。いつからあったのか分からなかった。すごくゆっくり、でも確実に広がっていた気がして、それでも「もう年だからかな」と思っていた。呑気にも程がある。 そのうちに、右目の瞳孔がずっと開きっぱなしになっていることに気づいた。もしやと思って、右目に指をゆっくり近づけてみた。目の毛に触れるまで、瞬きはしなかった。左目で同じことをする。すぐに目をつぶる動作。 これはダメだ、と思った。 翌日、かかりつけの病院へ連れて行った。眼圧が高いとのことだった。血液検査など一通りやったけれど、特に異常は見つからなかった。症状は緑内障に見えるけど数値としては正常範囲ということで、目薬で様子を見ることになった。 数週間経っても改善しなかった。かかりつけの先生に相談して、少し大きめの病院を紹介してもらうことになった。少し遠かったけど、1人と1匹で出向いた。 そこで緑内障と確定診断された。最初に気づいたシミのようなものは「虹彩メラノーシス」だと教えてもらった。「年だからかな?」なんて呑気だった自分に、腹が立った。幸い悪性のメラノーマではなかったが、そう言う問題ではない。 動物の緑内障は、眼圧が上がって視神経にダメージが出る病気だ。進行すると失明し、さらに悪化すると眼球そのものを摘出しなければならないケースもある。そして今後虹彩メラノーシスが悪性になると全身に転移してガンが広がる可能性もある。と告げられた。16歳という年齢で全身麻酔をかけることへのリスクも、当然ある。それでも放置すれば毎日目薬をしなければならないし、最悪死期も早くなるリスクもある。少しでも長く一緒にいたい。家族もそうに違いない。手術を選ぶしかない。ベルだってきっとそう思ってくれる。はず。 ベルが眼球を失う。その現実を、まだちゃんと受け止められていない気がする。 気づいてあげられなかった 今になって思い返すと、この1〜2年でハゲた跡が増えていた。過度な毛づくろいで毛が薄くなる、あれだ。嘔吐も増えていた。病院で診てもらったけど特に病名はなく、吐き気止めをもらって様子を見ていた。 たぶん、目が見えなくなってきたことへのストレスだったんだと思う。今になって、そう思う。 でも当時は、そんなふうに結びつけて考えることができなかった。ベルはずっと元気だった。元気に走り回り、キャットタワーに飛び乗り、階段を駆け上がって駆け降りていた。辛そうなそぶりなんて、何ひとつなかった。 猫は痛みを隠そうとする生き物だ、という話を聞いたことがある。野生の名残なのか、弱さを見せないようにするらしい。だからベルも、見えにくくなっていることを表に出さなかったのかもしれない。でも、ふとした瞬間に訴えかけてきていたのかもしれない。そんな些細なことに気づいてあげられなかった。 毎日膝の上にいた。毎日顔を見ていた。それでも気づけなかった。 これだけ近くにいて、これだけ時間を共にしていて、気づいてあげられなかったのは、自分の責任だと思っている。「しょうがない」で済ませたくない。ベルはずっと穏やかに膝の上にいてくれたのに、こっちはその子の変化を見落としていた。 申し訳ない、という言葉以外が出てこない。 16年というのは、すごいことだ 猫の平均寿命は、室内飼いで15歳前後と言われている。ベルはその年齢を超えて、今16年目にいる。 2010年のクリスマスから、リーマンショック後の不景気も、フリーランスになった年も、子供が産まれた年も、コロナで外に出られなかった時期も、ずっとそこにいた。在宅になって仕事部屋にこもるようになってからは、特に一緒にいる時間が長くなった。膝の上のゴロゴロは、気づけば仕事のBGMになっていた。 そのベルが、手術を受ける。 16年間、一度も怒らなかった子が、今度は痛みに耐えることになる。それでも文句を言わないし、たぶん手術後も膝に乗ってくると思う。それがベルだ。 こちらにできることは、ちゃんとそこにいること、それだけだと思っている。 手術を終えたら、また膝の上にいてほしい 手術の日程はまだこれからだ。年齢的なリスクはある。でもベルが痛みなく過ごせるなら、それが一番いい。 片目になっても、ゴロゴロ言いながら膝に乗ってくると思う。ベルならそうする。 気づいてあげられなかったこと、本当にごめん。手術、頑張ってほしい。終わったら、また仕事の邪魔しにきてください。 ずっと待ってる。