GA4 × Claude Code × MCPでアクセスレポートを自動生成した話
SEO会社のアクセスレポート、月額数万〜数十万円払って受け取っているとしたら、それが数分で自分で出せるとしたらどうする?
大げさに聞こえるかもしれないけれど、今日それが現実になった。GA4にClaude CodeをMCP経由で接続したところ、「先週のアクセスどうだった?」と聞くだけで、アクセスレポートが自動生成されるようになった。しかもデジタル庁のダッシュボードデザインテンプレートを組み合わせることで、見た目まで整ったHTMLレポートが数分で完成した。
この記事では、その仕組みの作り方と、実際に出てきたデータ、そしてフリーランスが自分のサイトを「実験場」にすることの価値について書く。
SEO会社のレポート、自分で出せたら月いくら浮く?
Webサイトのアクセス解析レポートを外注すると、それなりにコストがかかる。月次レポートの作成・分析・提案をセットにしたSEOコンサルのサービスは、規模によって数万〜十数万円が相場だ。
もちろんプロに任せることには価値がある。専門知識、継続的な分析、改善提案——これらが一体になったサービスは確かに意味がある。ただ、「レポートを作って読む」という作業自体は、仕組みさえあれば自動化できる部分も多い。
フリーランスとして自分のサイト(n-pc.jp)を運営していると、どのページが読まれているか、どこから来ているか、先週と比べてどうかを素早く把握したい場面が頻繁にある。GA4の管理画面を開いて、日付を設定して、項目を切り替えて……という作業を毎週やるのは正直だるい。もっと楽に、かつ続けられる形で自分のデータを読み解きたかった。
GA4 × Claude Code × MCPでレポート自動生成する仕組み
今回使ったのは MCP(Model Context Protocol)という仕組みだ。簡単に言うと、Claude Codeに外部ツールを「手」として渡す仕組み。Claude Code自体はAIだが、MCPサーバーを接続することで、そのAIが直接GA4のデータを取得したり、ファイルを操作したりできるようになる。
※「MCP(Model Context Protocol)」とは、AIモデルが外部のツールやデータソースに接続するための標準的な仕組みです。Anthropicが策定したプロトコルで、対応するサーバーを追加するだけでClaude Codeの「できること」を拡張できます。
料理に例えると、Claude Codeがシェフで、MCPサーバーが冷蔵庫の中身を確認できる「目」のようなもの。MCPなしのシェフは記憶にある材料でしか料理できないが、MCPがあると「冷蔵庫を開けて実際に確認してから」料理できる。
設定に必要な3ステップ
今回の設定で実際にやったことは大きく3つだ。
- analytics-mcp のインストール
PyPI(Pythonのパッケージ配布サービス)経由で、Googleが公式に提供しているanalytics-mcpをインストールする。 - Google Analytics Data APIの有効化とサービスアカウントの設定
Google Cloud Consoleで「Google Analytics Data API」を有効化し、サービスアカウントを作成。そのアカウントにGA4プロパティの「閲覧者」権限を付与する。認証用のキーファイル(JSON)を取得して保管する。 - Claude CodeのMCP設定ファイルに追記
設定ファイルにMCPサーバーの起動コマンドと認証情報のパスを書けば完了。次回起動時からClaude Codeがanalytics-mcpを使えるようになる。
実際のコマンドと設定ファイル
analytics-mcpのインストールは1行で終わる。
pipx install analytics-mcp
次に、プロジェクトのルートに .mcp.json を作成(または既存のファイルに追記)する。
{
"mcpServers": {
"google-analytics": {
"command": "analytics-mcp",
"args": [],
"env": {
"GOOGLE_APPLICATION_CREDENTIALS": "/path/to/your-service-account-key.json"
}
}
}
}
GOOGLE_APPLICATION_CREDENTIALS の部分を、自分が取得したサービスアカウントのキーファイルのパスに置き換えるだけだ。これでClaude Codeを再起動すれば、GA4のデータに直接アクセスできるようになる。
※「サービスアカウント」とは、人間のユーザーではなくプログラムやサーバーが使うためのGoogleアカウントの一種です。特定のAPIやリソースへのアクセス権を最小限に絞って付与できるため、セキュリティ上の観点からAPI連携で広く使われています。
技術的なハードルに聞こえるかもしれないが、Claude Codeに「analytics-mcpを使えるようにしたい」と伝えると、必要なコマンドや設定ファイルの書き方を全部教えてくれる。今日の自分がかかった時間は30分程度だった。
「昨日のアクセスは?」と聞くだけで週次レポートが出てきた
設定が終わったあと、まず試しに「昨日のアクセス数は?」と聞いてみた。数秒でGA4からデータが返ってきた。次に「先週のアクセスはどうだった? 前週との比較も含めて教えて」と聞くと、セッション数・PV数・直帰率・流入チャネル・記事ランキングまでが整理されたレポートとして出てきた。
GA4の管理画面で同じ情報を揃えようとしたら、タブを何度も切り替えて、数字をメモして、比較計算して……と少なくとも15〜20分はかかる。それが自然言語一文で完了した。
実際に出力されたデータ(先週分)
実際のデータを公開する。n-pc.jpは開設してまだ日が浅いため、数字はそれほど大きくないが、変化の傾向が読み取れるのが重要だ。
人気記事の1位は「ターミナル初心者がClaude Codeをゼロからセットアップした全手順(Windows)」で47PVだった。検索流入が前週比で大幅に伸びているのは、記事が少しずつGoogleにインデックスされてきた証拠だと読める。直帰率が40%から31%に下がっているのも、記事の質が上がっているか、関連記事への誘導が機能し始めているかのどちらかだろう。
※ GA4の「直帰率」は旧GA(ユニバーサルアナリティクス)とは定義が異なります。GA4では「10秒以上の滞在」「2ページ以上の閲覧」「コンバージョンの発生」のいずれも起きなかったセッションを「直帰」として計算します。31%はかなり良い数値です。
これだけの情報を自分で整理して文章にしようとしたら、相当な時間がかかる。Claude Codeが「気になる部分の解釈」まで添えてくれるので、データを眺めるだけで終わらず、次の打ち手を考えるところまで一気に進めた。
デジタル庁テンプレートで見た目まで整えた
数字が出るだけでも十分便利だが、せっかくなら見た目まで整えたかった。そこで活用したのがデジタル庁が公開している「ダッシュボードデザインテンプレート」だ。
※「デジタル庁ダッシュボードデザインテンプレート」とは、デジタル庁が公開しているPower BI向けのデザインテンプレートです。7色のカラーテーマが用意されており、統一感のある美しいダッシュボードをすぐに作れる設計になっています。
今回はCyanテーマを採用した。「IT・テクノロジー系に適したカラー」という位置づけで、n-pc.jpのサイトの雰囲気にも合っている。Claude Codeに「デジタル庁テンプレートのCyanテーマで、以下のデータをHTMLダッシュボードにして」と指示したところ、以下の要素が入った1枚のHTMLファイルが数分で完成した。
- KPIカード(セッション数・PV・直帰率・検索流入率)
- 日別PV推移の棒グラフ
- 流入チャネル内訳のドーナツチャート
- 記事ランキング(上位5記事)
- 前週比較テーブル
- 成長戦略ロードマップ
ブラウザで開くと、SEO会社が顧客に提出するようなレポートと遜色ない見た目のダッシュボードが表示された。正直、初めて画面に出てきたときは「これが一言の指示から出てくるのか」と少し驚いた。
HTMLファイルとして出力されるので、メールに添付してクライアントに送ることもできるし、社内の共有フォルダに置くこともできる。PDFへの変換も、ブラウザの印刷機能を使えば一瞬だ。
自分のサイトが「実験場」になった価値
今回の取り組みで改めて感じたのは、自分のサイトを「実験場」として持つことの価値だ。
クライアントのGA4で新しい設定を試すのはリスクがある。設定ミスがあれば迷惑をかけるし、説明責任も発生する。でも自分のサイトなら、多少試行錯誤しても問題ない。今日のMCP連携も、最初にn-pc.jpで試して動作を確認してから、「別のサイトでも使えそう」という確信を持てた。
この仕組みは別のサイトにも簡単に展開できる。サービスアカウントに対して、追加したいGA4プロパティの「閲覧者」権限を付与するだけでいい。設定ファイルの変更は不要で、あとはClaude Codeに「example.comのGA4を見て」と言えば切り替えられる。
以前「フリーランスの自分専用AI社員チームをClaude Codeで作った話」で書いた仮想チームの仕組みとも相性がいい。チームのエージェントがGA4データを参照して、記事の改善提案まで自動で出してくれる未来も近い。
つまり流れとしては、
- 自分のサイトで仕組みを作って検証する(実験場)
- クライアントのサイトに権限を追加して展開する(本番)
- レポート作成の時間を削減しながら、クライアントへの提案品質を上げる
というサイクルができる。自分のスキルアップとクライアントへの価値提供が同時に進む、かなりコスパのいい一手だと思っている。
SEOのことを「自分には難しい」と感じていた理由の一つは、データを読む手間だった。GA4を開くのが億劫だと、データを見ない。データを見ないから改善できない。このループを断ち切るには、「データを見るコスト」を下げることが一番効いた。
まとめ
今回やったことと、得られたことを整理する。
- Claude CodeにGA4 MCPサーバー(analytics-mcp)を接続することで、自然言語でGA4のデータを取得できるようになる
- 設定は「APIの有効化 → サービスアカウントの作成と権限付与 → MCPの設定」の3ステップで、かかった時間は30分程度
- 「先週のアクセスどうだった?」一文で、セッション・PV・直帰率・流入チャネル・記事ランキングが揃った週次レポートが出てくる
- デジタル庁ダッシュボードデザインテンプレート(Cyanテーマ)と組み合わせることで、見栄えのするHTMLレポートまで自動生成できる
- 別サイトへの展開はサービスアカウントへの権限追加だけで完了する
SEO会社に頼まずデータを自分で読む、というのは単にコストの話だけじゃなくて、「自分のサイトをちゃんと把握している人間になる」という話でもある。データを見る習慣が自然につくようになると、記事の方向性の判断も変わってくる。
来月は実際にこの仕組みを1ヶ月運用してみた成果報告記事を書く予定だ。検索流入がどう伸びたか、レポートを続けることで気づいたことなど、数字ベースで振り返りたいと思っている。
GA4のデータが一言で出てくる世界、慣れると手放せなくなる。
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※この記事はNPCの中の人の実務経験をもとに書いています。