個人ブランドのサイトをWordPressで作る理由 – NPC
個人ブランドのWebサイト、なぜWordPressを選んだのか
フリーランスや個人事業主として活動していると、「自分のWebサイトを持ちたい」と思うタイミングが必ず来る。名刺代わりに、ポートフォリオとして、あるいは情報発信の拠点として。
ただ、いざ作ろうとすると迷うことが多い。Wix?ペライチ?それともWordPress?デザインはどうする?何を載せればいい?——そういう「考えること」が多すぎて、結局サイトを作らないまま時間が過ぎていく人も少なくない。
自分はフリーランスのWeb制作者として2016年ごろから活動していて、個人ブランド「npc」のサイトもWordPressで運営している。これまでクライアントのサイトも数多く手がけてきた中で、個人ブランドのサイトを作るときに考えたこと・判断基準を整理してみたい。
「とりあえずWordPress」ではなく、なぜWordPressなのか。そしてどう設計すれば、運用まで含めて自分の武器になるのか。
サイトを作る前に整理すべき3つのこと
いきなりデザインやツール選びに入る人が多いけれど、まず考えるべきは「サイトで何を実現したいか」という目的の整理だ。
1. 誰に見てもらうサイトなのか
個人ブランドのサイトといっても、見る人によって載せるべき情報は変わる。クライアントに向けたものなのか、採用目的なのか、同業者との交流目的なのか。自分の場合は「仕事を依頼してくれる人」と「技術情報を探しているWeb制作者」の2軸で考えた。
2. どのくらいの頻度で更新するか
ブログを定期的に書くのか、ポートフォリオだけ置いておくのか。更新頻度によって必要な機能もサイト構成も変わる。更新しないならWordPressはオーバースペックかもしれないし、頻繁に更新するなら投稿管理の仕組みが重要になる。
3. 自分で運用できる範囲はどこまでか
ここが意外と大事なポイント。かっこいいサイトを作っても、自分で更新できなければ放置されるだけ。デザインの自由度と運用のしやすさはトレードオフの関係にあることが多い。
この3つを整理するだけで、ツール選びの判断がかなりクリアになる。
WordPressを選んだ理由と、他の選択肢との違い
個人ブランドのサイトを作るとき、選択肢はいくつかある。自分がWordPressを選んだ理由を、他のツールとの比較も含めて書いておく。
ノーコード系ツール(Wix・STUDIO・ペライチ)
ノーコード系のサイト制作ツールは、テンプレートを選んでドラッグ&ドロップで作れる手軽さが魅力。初期コストが低く、サーバーやドメインの設定も不要なものが多い。ただし、カスタマイズの自由度には限界がある。「このデザインにしたい」「この機能を追加したい」と思ったときに、ツールの制約に引っかかることがある。
静的サイトジェネレーター(Next.js・Astroなど)
表示速度やセキュリティの面で優れている。ただし、技術的なハードルが高く、コンテンツの更新にもコードの知識が必要になる場合が多い。エンジニアが自分のポートフォリオを作るならアリだけど、「記事を気軽に書きたい」という用途には向かないことが多い。
静的サイトと動的サイトの違いをざっくり言うと、静的サイトは「あらかじめ完成した料理を並べておく」イメージで、アクセスの度に同じページをそのまま返す。一方の動的サイトは「注文が来るたびに調理して出す」イメージで、データベースの内容に応じてページを都度生成する。表示速度は静的が有利だが、コンテンツを頻繁に更新・管理したい場合は動的サイトの仕組みが向いている。
WordPress
自分がWordPressを選んだ理由はシンプルで、「カスタマイズの自由度」と「コンテンツ管理のしやすさ」のバランスが一番良かったから。
具体的には以下の点が決め手だった。
- ACF(Advanced Custom Fields)を使えば、コードをゴリゴリ書かなくてもカスタムフィールドで柔軟な構成が作れる
- ブログ・お知らせ・実績など、投稿タイプを分けて管理できる
- プラグインで機能拡張しやすい(お問い合わせフォーム、SEO対策など)
- 長年使ってきた実務経験があり、トラブル対応もしやすい
※「ACF(Advanced Custom Fields)」とは、WordPressの管理画面に入力欄を自由に追加できるプラグイン。テキスト・画像・日付など多彩なフィールド形式に対応しており、コーディングの手間を大幅に省きながら柔軟なサイト設計が可能になる。
※「カスタムフィールド」とは、WordPressの投稿に対して、タイトルや本文以外の独自の情報(価格・住所・評価など)を追加するための項目のこと。ACFを使うと、この仕組みをGUIで直感的に管理できる。
※「投稿タイプ(カスタム投稿タイプ)」とは、WordPressで標準の「投稿」「固定ページ」以外に、独自のコンテンツ種類を追加できる仕組みのこと。たとえば「実績」「スタッフ」「FAQ」などを別々の投稿タイプとして管理できる。
※「プラグイン」とは、WordPressに機能を追加するための拡張パーツのこと。スマートフォンのアプリと同じように、必要な機能を選んでインストールするだけで利用できる。
もちろんWordPressが万能というわけではない。セキュリティのアップデート対応や、表示速度の最適化など、運用面で気を使うポイントはある。でも個人ブランドのサイトとして「育てていける」という点では、今のところ最も実用的な選択肢だと感じている。
それぞれの特徴を比較するとこんな感じになる。
- 手軽に始められる
- カスタマイズに限界あり
- 月額費用が発生する場合も
- 自由度と管理のバランスが良い
- プラグインで拡張しやすい
- 運用面の知識は必要
- 表示速度・セキュリティに強い
- 技術的ハードルが高い
- コンテンツ更新が手間
WordPress × 個人ブランドで意識した設計ポイント
WordPressで個人ブランドのサイトを作ると決めたら、次は「どう設計するか」。ここでは自分が実際に意識したポイントを紹介する。
トップページは「何者か」が3秒で伝わるように
個人ブランドのサイトで一番大事なのは、訪問者がトップページを開いた瞬間に「この人は何をしている人なのか」がわかること。長い自己紹介文ではなく、キャッチコピーと肩書き、主要な実績やサービスを端的に見せる構成にした。
ブログは「資産」として設計する
ブログ記事は単なる日記ではなく、検索経由で人を集める資産として設計した。カテゴリ構成を先に決めて、どのジャンルの記事を増やしていくか方針を立ててから書き始めるのがポイント。自分の場合は「WordPress・Web制作」「AI・ツール活用」「ブランディング」などのカテゴリを軸に据えている。
更新しやすい仕組みを作る
デザインの凝り具合よりも、更新のしやすさを優先した。具体的にはACFで入力フィールドを整備して、決まったフォーマットで投稿できるようにしている。「何を入力すればいいか」が明確だと、更新のハードルがぐっと下がる。
表示速度とSEOの基本を押さえる
PageSpeed Insightsで80点以上を目標に、画像の最適化やキャッシュの設定を行った。SEO対策としてはYoast SEOを導入して、各記事のメタディスクリプションやフォーカスキーフレーズを設定できるようにしている。
※「PageSpeed Insights」とは、Googleが提供するWebサイトの表示速度を診断する無料ツール。URLを入力するだけでパフォーマンスをスコア(0〜100点)で評価し、改善点を具体的に提示してくれる。
※「Yoast SEO」とは、WordPressで最も広く使われているSEO対策プラグイン。記事ごとのメタ情報の設定や、検索エンジンへのサイトマップ送信などをGUIで管理できる。
※「メタディスクリプション」とは、Google検索の結果一覧でタイトルの下に表示される説明文のこと。直接的な順位への影響は限定的だが、クリック率に影響するため各ページで適切に設定しておくことが推奨される。
※「フォーカスキーフレーズ」とは、Yoast SEOで設定する「その記事で上位表示を狙いたい検索キーワード」のこと。設定すると、記事内でのキーワードの使われ方や見出し構成などを自動でチェックしてくれる。
サイト設計から公開までの流れを整理するとこうなる。
まとめ:個人ブランドのサイトは「育てるもの」
個人ブランドのWebサイトは、一度作って終わりではない。ブログ記事を増やしたり、実績を更新したり、少しずつ手を入れながら育てていくものだと思っている。
だからこそ、最初のツール選びと設計が大事。見た目のかっこよさだけで選ぶと、運用フェーズで詰まることが多い。
WordPressは「ちょうどいい自由度」を持ったツールだと感じている。凝ったことをしようと思えばできるし、シンプルに使うこともできる。個人ブランドのサイトをこれから作ろうと考えている人は、まず「目的」「更新頻度」「運用力」の3つを整理するところから始めてみてほしい。
※この記事はNPCの中の人の実務経験をもとに書いています。