WordPress保守の診断を自動化したくて作ったプラグインをWP.orgに公開しました
2026年5月14日、npcが開発した2つ目のWordPressプラグイン「NPC Maintenance Inspector」が、WP.orgの公式プラグインディレクトリに正式掲載されました。
1つ目のACFマニュアル生成プラグインを公開してから、わずか3日後の公開です。WP.orgの審査は通常1〜2週間の待ち時間が標準と言われている中で、続けて出せたのは前回の経験が「テンプレ」になったからです。今回は申請から公開までの流れ、そして申請の途中で「商標衝突」を指摘されてプラグイン名ごと変更することになったエピソードも含めて記録しておきます。
※「WordPress.org(WP.org)公式ディレクトリ」とは、世界中のWordPressユーザーが無料でインストールできるプラグインが掲載されている公式の配布所です。掲載には審査があります。
なぜ作ったのか——毎月の保守作業を「診断ベース」に変えたかった
npcではWordPressサイトの保守業務を受けています。月に一度、20サイト近くを順番に開いて、WordPress本体やプラグインの更新状況、サイトヘルス、PHPバージョン、SSL証明書の期限、ファイルパーミッションなどを目視で確認していました。
以前書いた「月次保守20サイトを効率化するために、自分用のWordPress診断プラグインを作った」で詳しく書いていますが、この時作った自分用のプラグイン。コレをWP.orgで提供できるように作り替えたものになります。
「全サイト共通の項目を、ボタン一発で診断して、結果を履歴として残せたら」というのが出発点でした。さらに、診断結果に問題があれば、それをAIに渡して修正提案レポートを日本語で自動生成してくれれば、対応の判断も速くなります。
プラグインの機能紹介——9項目を一気に診断、AIレポートでフォローアップ
「NPC Maintenance Inspector」は、WordPressサイトの管理画面から1クリックで以下の9項目を診断するプラグインです。
- WordPress Core:本体のバージョンと更新の必要性
- Plugins:全プラグインの数と更新待ちの数
- Site Health:WP標準のサイトヘルス結果
- PHP Version:end-of-lifeバージョンの検出と警告
- Error Log:debug.logの状態(バックアップ機能付き)
- File Integrity:コアファイルが改ざんされていないか(WP公式チェックサムAPIとの照合)
- Suspicious Files:uploads/ 配下の不審なPHPファイル検出(既知の正規プラグインファイルは自動でホワイトリスト化)
- SSL Certificate:証明書の有効期限(残り30日以下で警告、0日でクリティカル)
- File Permissions:wp-config.php / .htaccess など重要ファイルの権限
診断結果はカード形式で一覧表示され、合計の総合グレード(A〜F)も出ます。

さらに、Anthropic Claude APIキーを設定しておけば、診断結果から「今すぐ対応が必要な項目」「早めの対応を推奨する項目」「問題なしの項目」を日本語で整理したレポートが自動生成されます。

WP.orgから無料でダウンロードできます。
NPC Maintenance Inspector — WordPress.org
WP.org審査で「商標衝突」を指摘された話
このプラグインは当初「NPC Site Doctor」という名前で提出しました。「サイトのお医者さん」というイメージで、機能の中身を一言で伝えやすいネーミングだと思っていました。
5月12日に初回アップロード。前回の経験を活かして、配布zipに不要ファイル混入なし、ソースコード原文は英語、textdomain統一、admin_notices は自分のページのみ、と前回ハマったポイントはすべてクリア。自動スキャン(WP.org側で実行される機械チェック)も一発で通過しました。
「今回はスムーズに行くかな」と思ったところで、5月13日にPended(保留)の指摘が届きました。
内容は「Site Doctor」という名前が、すでにWP.orgに存在する別のプラグインと類似していて商標的に問題があるというもの。直感的にわかりやすい名前で気に入ってたけど公式に通らないっていうなら仕方がない。
改名対応:単にPlugin Nameだけ変えればいい話じゃない
プラグイン名を変える、と言ってもファイル名やPHP内のクラス名、定数名、フック名、翻訳ファイル、ユーザーに見える表示名まで、書き換える箇所がたくさんあります。今回新しい名前を「NPC Maintenance Inspector」に決めて、Claude Codeに一括置換スクリプトを作ってもらいました。
置換マップは以下の7パターン:
- 定数prefix:
NPC_SD_→NPCMI_(PHPコード内のdefine()) - 小文字prefix:
npc_sd_→npcmi_(hook名・nonce名・option名・filter名) - カスタム投稿タイプスラッグ:
nsd_log→npcmi_log - 表示名フル:
NPC Site Doctor→NPC Maintenance Inspector - 表示名短縮:
Site Doctor→NPC Inspector(メニュー名・CPTラベル) - プラグインスラッグ:
npc-site-doctor→npc-maintenance-inspector(textdomain・Plugin URI・翻訳ファイル名) - ファイル名:
npc-site-doctor.php→npc-maintenance-inspector.php
機械的に置換した後、ローカル環境で実機確認したところ、左サイドバーのメニュー名「Site Doctor」が残っていたのを発見しました。コード内で __( 'Site Doctor', ... ) という形でNPC Site Doctorとは別に「短縮形」を直書きしていた箇所が2カ所(メニュー名とカスタム投稿タイプのラベル)あり、grepでフル名だけ検索していると引っかからない罠でした。
とはいうものの、人の手でやってたらもっと時間はかかってただろうし、抜けもあったかもしれない。
正確で早い。まるで牛丼がおいしい「吉牛」(松屋もおいしい)のキャッチコピーみたいだけど、それがピッタリはまるクオリティです。
承認〜公開までは24分だった
改名版のzipを5月13日深夜にWP.orgへ再アップロード、メールで「新スラッグの予約をお願いします」と返信。翌5月14日の朝、承認通知が届きました。
承認後はSVN(Subversion)というバージョン管理システムを使ってコードと画像をWP.orgのサーバーにアップロードします。前回のACFマニュアル生成プラグインの提出時にすでにSVNアカウントを登録していたので、認証情報がそのまま使えました。
22:43、ターミナルから svn commit を実行。49ファイル(プラグイン本体・タグ付きバックアップ・バナー画像2枚・アイコン2枚・スクリーンショット8枚)を一度にアップロードしました。
そこから23:07、WP.orgのプラグインページ(https://wordpress.org/plugins/npc-maintenance-inspector/)が公開された状態に。SVNコミットから24分で全世界からダウンロード可能になりました。
Claude Codeがいなかったら、WordPressのプラグインを作るなんてことできなかっただろうな。
最初は自分用のちょっとしたphpに書いたプラグインとは呼べないようなものから始まり、いくつかつくってきてた。
Claudeとの信頼関係も構築され始めたころから、ようやくプラグインと呼べるような、インストールして使うものを作るようになってきた。でもまさか、WP.orgで配信するものを作るようになるとは夢にも思ってなかった。
自分が使ってみて便利だと思うものが、少しでも他のWordPress利用者さんの助けになるのであれば!と思い立ったその日から、少しずつWP.orgで配信したいという気持ちが強くなってきた結果です。
使ってみてください
「NPC Maintenance Inspector」はWP.orgから無料でインストールできます。AIレポート機能を使う場合は、Anthropic Claude APIキーが別途必要です(無料枠あり)。
診断機能が無料で使えるので、レポート機能を使わなくても十分お役に立てるかと思います。
NPC Maintenance Inspector — WordPress.org
WP管理画面から「プラグイン > 新規追加」で「NPC Maintenance Inspector」と検索すれば見つかります(検索インデックス反映には公開から最大72時間かかります。直接URLからのインストールはすぐ可能)。
WP保守を効率化したい方や、複数サイトを管理している方の助けになれば幸いです。バグ報告や機能リクエストはGitHubのIssueからどうぞ。
ちなみに、保守の請負も可能です。詳しくはこちらから→WordPress保守契約
その場合はしっかりClaude APIキーを入れてレポートさせていただきます。
追記(2026-05-15):v1.0.1を公開しました
本日(2026-05-15)、v1.0.1を公開しました。
中身としては、AIレポート生成で使っているClaudeのモデルIDを最新版に切り替えただけのマイナーバージョンアップです。これまで使っていた claude-sonnet-4(2025-05-14版)が、Anthropic側で2026-06-15にサポート終了になるアナウンスがあったため、後継の claude-sonnet-4-6(Claude Sonnet 4.6)に差し替えています。
新モデルは旧モデルと同じ料金で、性能が大幅に向上しているとAnthropic公式から案内されています。AIレポート機能を有効にしている方は、自動アップデートで反映される形になるので、特に操作は不要です。